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「若き日のアブラハム―モーセ五書と説教の講義より―」第1回

関西単立バプテスト神学校 校長 村上 聡

その地に飢饉が起こったので、アブラムは、エジプトにしばらく滞在するために下って行った。その地の飢饉が激しかったからである。
(創世記12章10節)

 「信仰の父」「神の友」と呼ばれたアブラハムは、聖書の中において、尊敬すべき信仰の偉人として記されております。しかし、そのアブラハムも、信仰を持って直ちに信仰の人になったのではありません。私たちがそうであるように、彼もまた多くの失敗を通して学び、成長したのです。

 彼は、神の召命を受け、カナンの地に入りましたが(5節)、そこで激しい飢饉に遭遇しました(10節)。その時、ナイル川とまたその周辺に大変肥えた地を有するエジプトは影響を受けなかったのでしょう。アブラハムは、食を求めてエジプトに下って行きました。

あなたは祝福となりなさい
(創世記12章2節)

 アブラハムが、多くの国民に神の祝福の扉を開く大きな使命をいただいたことを自覚していたことは明らかです。飢饉にあった時「私には多くの国民の祝福となるべき使命がある。飢饉のために、ここで死ぬわけにはいかない」と思ったのでしょう。

 与えられた使命のために生き延びるという動機は正しかったのですが、とった方法が悪かったのです。彼は神の召命を受けてカナンに来たのですから、最後まで神様に信頼し、その地に留まることを検討してみるべきでした。また当時、飢饉は日常的なことであり、驚くべき天災ではなかったことを考えると、尚更のことです。ここに若き日のアブラハムの弱さがあるのではないでしょうか。

 彼は実を結ばないとき、すぐに他の方に走る傾向がありました。与えられた土地が実を結ばないとき、他の土地エジプトに行きました。そして、同じ弱さは、その後にも大きな失敗を生みました。与えられている妻の胎が実を結ばないとき、他の女性ハガルのところに行きました。これは、我々にも見られる傾向ではないでしょうか。

 私も宣教の働きの中で、実を結んでいる他の地に興味を持ったことがあります。皆さんも、神が与えてくださっている祝福を忘れ、実を結んでいる他の家庭、実を結んでいる他の仕事に目を奪われたことがありませんか。

 アブラハムの弱さは、また私たちの弱さといえるのではないでしょうか。

あなたがたが神のみこころを行って、約束のものを手に入れるために必要なのは、忍耐です。
(ヘブル人への手紙10章36節)

 アブラハムはその後、創世記22章ー23章に記されているとおり信仰の偉人として、素晴らしい人生のクライマックスを迎えるのですが、若き日のアブラハムには、まだこのような弱さがありました。

 祝福された信仰生活のために「忍耐」というファクターが必要不可欠であることを忘れてはなりません。

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